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*お父さんはテントを出て辺りを見渡しました。しかしどこをどう見回しても、人影どころか動物の気配さえありません。そして陽が沈み、夜が来ました。彼の様子に変化はありません。そこでとりあえず、お父さんは火を起こしツァンパを作ったのです。
「こんなものしかできないけれど、とにかく食べないとな」
「ああ、ありがとう」
彼は力なくそう言うと、一口ツァンパを口にしました。
お父さんたちは無言で食べ続けました。ただ不安のうちにお父さんは食べ続けていたのです。彼もお父さんに心配かけまいと、無理にでもツァンパを口に運んでいました。そして食べ終わると彼は言いました。
「今日はもう眠ることにしよう。明日になったら、俺もいくらか良くなっているさ」
彼は気丈に振舞って微笑みました。
お父さんも、心も体もすっかり疲れ切っていたのです。彼の病をよそに、灯を消すとすぐにお父さんは眠っていました。この現実が、夢であるようにと願いながら。
翌日、彼の様子に変化はありませんでした。青白い顔をいくらか苦しそうに顰めてはいましたが、その眼差しには、強い光が宿っていました。
お父さんは少し安心して、ツァンパを作ると彼に与えながら言いました。
「俺は人を探してくる。お前は無理せず休んでいるんだぞ。ツァンパを余分に作っておいた。ポットにはお茶が入っているから、なるべく水分は取るようにするんだ。俺も人を見つけたら、すぐに戻ってくるから」
「ああ、俺のことは心配いらないよ。お前も気をつけてな」
彼の言葉に元気を得て、お父さんは人を探しに出掛けました。
峠を下るより先へ進んだ方が良いと判断し、聖なる地へと続く巡礼者の轍を、聖山の方へと進んでいったのです。
この時期、本来なら多くの巡礼者たちが行き交うはずなのですが、午前中を歩き続けても全く人影はありませんでした。それはまるで、彼の命が悪魔に魅入られてでもいるかのようでした。お父さんは何かとても不安になり、人探しを切り上げ急いでテントへと引き返したのです。
不安を抱えて午後一番で帰り着くと、彼は静かな寝息を立て、穏やかな寝顔で眠っているところでした。
お父さんはホットしました。彼の顔色もいくらか良くなっているようなのです。この分なら、二三日もすればすっかり良くなるかもしれないとお父さんは思いました。何といっても、ツァンパの材料はまだまだ沢山残っていたのですから。
そしてお父さんは、彼が目を覚ますと言いました。
「どうだ気分は。少し顔色が良くなったようだな」
「ああ。いくらか楽になったようだよ」
「それじゃあ、ここでしばらくビバークだな。まあ、辺境な地は辺境な地なりの魅力がないわけじゃない。夜空の星は綺麗だし、烈風が奏でる荒涼の調べも、聞きようによっては悪いもんでもないさ」
お父さんも腹を据えて、自然のあるがままに運命を委ねることにしたのです。
翌日からは人探しも止め、テントの中で過ごしました。お父さんたちは、二人で巡った様々な国の思い出を語り合いながら一日を過ごしたのです。
ジャングルを蛇行して緩やかにうねっている大河を、ボートで何日も下って行った時に出合った様々な生き物たちのこと。何にもない砂漠を、ラクダに乗って横断した時に導いてくれたベドウィンたちの逞しさと優しさ、それに、砂漠の澄み切った夜空に輝く大きな星星の美しかったこと。柔らかな丘陵地帯を走る欧州の巡礼道で出会った敬虔に神を信じる人々の穏やかな瞳の輝きと、それに呼応するかのような森の緑の美しさ……。
そんな思い出を語り合いながら、お父さんたちは一日を過ごしたのです。
彼の様子は、一日のうちにも良くなったり悪くなったりの繰り返しでした。そんな繰り返しで、あっという間に三日が過ぎていきました。テントは巡礼道の水場の脇に設営していたのですが、その三日間、そこを通過した人は一人もいませんでした。
お父さんは不安でたまりませんでした。彼の様子は一進一退の繰り返しですし、本来通るはずの巡礼者が、一人も現れないのですから。
そして四日目のことです。お父さんは嫌な気配を感じて目を覚ましたのです。すると彼の病状が悪化していたのです。彼の呼吸は荒くなり、唇も紫がかっています。けれども柔らかく見開かれた瞳には、明るい光が宿っていました。
「侭よ、どうやら俺もここまでのようだよ」
彼は覚悟したかのように言いました。しかし彼のその言葉は、どこかウキウキした調子を帯びたものでした。
「馬鹿野郎。なんてことを言っているんだ。俺たちの旅は、まだまだこれからじゃないか。昨日話したばかりだろう。これから出合うはずの、紺碧の空に聳える聖山の美しさを。何をそんなに弱気になっているんだ」
お父さんは怖くなって叫んでいました。
「ハハハ……」
彼は力なく微笑むと言いました。
「そうかい、お前には弱気に聞こえたかい。俺は、弱気になってこんなことを言っているんじゃないんだよ……。
お前にはすまないことをしてしまってが、俺は一足先にその山を拝んでしまったんだ。いやあ、本当に美しかった。氷雪を冠した剣の先端のような頂が、紺碧に抱かれているのだ。そしてその麓に佇む静謐の湖が、その母なる聖山を荘厳に映し出している。俺は銀色に輝くその頂に、神の姿を観じたのだよ……」
お父さんは、高熱で彼の気がふれたのだと思い、穏やかに微笑みながら横になっている彼の額に手を触れたのです。
しかし、熱などありませんでした。そしてお父さんは彼の瞳を覗き込みました。すると彼の瞳は病に濁るどころか、少年の澄んだ光で輝いているのです。
「どうしたんだ。そんなに驚いた顔をして。俺の気がふれたとでも思ったのかい。お前もまだまだだな・・・…。
どうやら俺は、お前よりも先に神に請われたようなのだよ」
彼はこう言うと、そっと目を閉じました。
しばらくの沈黙がありました。お父さんは、彼の言わんとするところのものをじっと考えていたのです。そしてお父さんにも、その意味が何となくわかってきました。
彼は今まさに、神の下へ旅立たんとしていました。そして彼もあそこへ行くのだとお父さんは知ったのです……。
- 2009/05/29(金) 21:00:55|
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巡礼道のオアシスである、清水の湧き出す小さな泉の辺にテントを張り終わると、お父さんは簡単なかまどを作り、彼は薪を集めました。そして火を起こし食事の支度に取り掛かったのです。その日、まだ陽の落ちる前から、お父さんたちはツァンパを肴に、お酒を酌み交わしました。
そう、目前に迫ったゴールに、お父さんたちは気を緩めてしまったのです。日が暮れて夜が更けても、焚き火に当たりながら、奇麗に輝く星空を眺め何度も盃を交わし、大いに酔っ払って眠りに就きました。そして翌日、寒さに震えながら目を覚ますと、彼は体調が優れないようなのです。
「昨日は羽目を外し過ぎたな。お前も顔色が悪いんじゃないか。今日は無理せず、この峠を越すのは明日にしないか」
お父さんは、少し重たい頭を抱えながらそう言いました。
「ああ。昨日はちょっと飲み過ぎたな。でもまあ、大丈夫だろう。俺たちの目的地は、もう目と鼻の先なんだぜ。俺は一刻も早くあの山を拝んでみたくて、心が急くのだよ」
彼はこう言うと、力なく微笑みました。そしてお父さんたちは、安易にも出発してしまったのです。
その峠を越すのは、本当に過酷なものでした。峠の頂上付近にはまだまだ沢山の氷雪が残り、またその辺りから一段と険しさが増しているのです。大きなリュックを背負い、調子の悪い彼を後ろに控えさせてお父さんが先に立ち、足場を固めながらゆっくりと進んでいきました。
急峻な峠は、一気に高度を高めます。それでなくとも高原地帯なのです。高度が上がるにつれ、まるで空気が無くなってでもしてしまったかのように空気は薄くなっていきました。一歩踏み出すたびに、調子の悪くないお父さんでも息が上がってしまうのです。そうなると、彼の体調を気遣う余裕もなくなっていきました。しかし、何時間もかけて、とうとうお父さんたちはその頂を極めたのです。
そしてお父さんは振り返りました。すると彼は、真っ青な顔を苦しそうに顰め蹲っていたのです。
こんな所に病院などあろうはずもありませんでした。辺りを見渡しても、人影どころか生き物の影すら見当たりません。
その病名は分かっていました。高山病です。身体が薄い空気に馴染めず、頭痛や吐き気などの変調をきたしてしまうのです。
治療法も分かっていました。酸素を十分に与え、なるべく早く高度の低い所へと移動することが肝要だったのです。
お父さんたちの計画は不完全なものでした。お父さんたちもこの病気のことを気にしてはいたのですが、それを甘く見て、全く高山病の対応策を考えていなかったのです。お父さんに出来ることといえば、そこにテントを張り、彼を休ませることだけだったのです。
「すまん。俺が強引にでも、一日休ませるべきだったんだ……」
「馬鹿だな。何を気にしているんだ。俺が出発しようと言ったのだから、こうなったのも、自業自得というものさ。お前は自分を責めることなどないんだよ」
彼は無理に笑顔を作り、こう言いました。
「しかし、俺が無理にでも休ませていれば……」
お父さんは、その時自分を責めました。なぜだか自分を責めていなければ不安だったのです。
「そう自分を責めるのは止めてくれ。俺まで辛くなるじゃないか。心配しなくても、ここで横になっていれば、そのうちきっと良くなるさ」
彼はそう言うと横になり、そっと目を閉じました。
- 2009/05/23(土) 13:01:44|
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どこまでも続く丘陵に広がる、夏の麦畑も素晴らしかったな。お父さんたちはその麦畑に踏み入り、そっと耳を澄ませる。すると、何処からともなく涼風がやってきて、黄金に輝く麦の穂を一斉にざわめかすんだ。お父さんたちの心はそのそよ風に乗って、麦の穂の上をどこまでもひらひらと漂っていく……。
お父さんたちはそんな大きくて美しい自然の中を、何年も何年も二人で旅して回ったんだよ。
そしてあれは、お父さんたちが二十五歳の頃だったと思う。以前からお父さんたちの憧れていた、ある聖なる山を目指すことをついに決心したのです。そこは、世界の屋根と言われる高原に位置する、神が棲むと言われる聖なる辺境の地でした。
そこまでのおよそ千キロという道程の交通手段は、自分の二本の脚に頼るしかありませんでした。お父さんたちは何か月もかけて計画を練り、身体を鍛えました。そしてついに、その入口に立ったのです。
そこからは、一本の大河に沿って幾つもの険しい峠を越えなければなりませんでした。けれどもお父さんたちは、ちっとも辛くなどなかったのです。だってお父さんには一番の親友がいたし、彼にもお父さんがいたのですからね。
お父さんたちは、途中途中に点在する小さな村落で食糧を仕入れ、夜は小さなテントで雨風を凌ぎました。
当然、雨の日は先へは進めません。そんな時の楽しみといったらやはり食事でしょう。だからと言って、辺境の地で肉や魚など食べられるはずもないのです。お父さんたちは、炒った麦粉をバターと茶で練った『ツァンパ』というものを肴にお酒を酌み交わしました。
小さなテントの中で、テントを打つ雨音に耳を傾けながら、お父さんたちは黙って酒を酌み交わしたのです。多くを語り合わなくとも、お父さんたちの心は不思議と通い合っていました。
そんな行程がいく日も続きました。時には言葉の全く通じない村人たちに招かれ、そこで御馳走になり、寝床を供せられることもありました。そんな辺境の地の食べ物は粗末で寝床は固いものでしたが、お父さんたちには食べ物は大変な御馳走で、寝床はふわふわのベッドのように思えたものでした。
そんな時には、人間の心の優しさを強く感じたものです。本来人間の心に悪心はなく、言葉などなくとも、人の真心は通い合えるのだと、お父さんたちは改めて強く感じたのです。
そしてとうとう、聖なる山が目前となりました。道々村人たちに聞かされた、最後の難所に辿り着いたのです。この峠を越えれば残りは百キロ、なだらかな道程が聖地まで一直線に続くのです。
まだ正午を過ぎたばかりでしたが、お父さんたちはその峠の麓にテントを張り、翌日に備えることにしました。
- 2009/05/22(金) 16:59:23|
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樹へ。
お前は今頃、突然お父さんがいなくなってしまって、とても寂しい想いをしていることと思っています。
そこでまず、一言いっておこう。お前もお母さんも、少しも悲しむことなどないんだよと。
確かに、もうこれからはお前たちと一緒に遊んだりご飯を食べたりはできないけれど、またいつの日か、きっとお前たちと出会える日が来るのだと、お父さんは信じているのです。つまりそれまで、お父さんは永い旅をしているだけなんだよ。
だから樹も、少しは寂しいかもしれないけれど、次にお父さんに会う日まで、一所懸命に笛の練習をしていてください。大きくなったお前と一緒に演奏している姿を思い描きながら、お父さんはそこで楽しみに待っているから……。
人にはそれぞれ、旅立ちの時というものがあります。お父さんには少しばかり早くその時が訪れてしまいましたが、別にお父さんは、それが悲しいことだとは思っていないんだ。だってお父さんはお母さんと出会って、樹というとても素敵な息子を持つことができたのだからね。
だけれどそれだけじゃない。お父さんは、自分を真直ぐに見詰めることで、本当の自分の道を見つけだすことができたのです。だから樹も、自分の想いに正直に生きていってください。
泣きたい時には涙を流せばいいし、嬉しい時には思い切り笑顔を見せればいいのです。他の人の痛みを感じたらその人と痛みを分かち合い、喜びを見つけたらその喜びをも分かち合うのです。すると苦しみは和らぎ、喜びは大きく膨れ上がることでしょう。
ここで最後に、お父さんにこう言うことを教えてくれた、お父さんの大切な友達について話しておきます。
彼はお父さんの親友であり、お父さんと一緒に多くの旅を重ねた友達でした。そして彼は突然に、一人旅立って行ったのです。
彼はお母さんのような素晴らしい奥さんにも出会えなかったし、君のような素敵な息子を持つこともできずに旅立って行きました。だけれど彼はとても幸せな生涯をすごし、今この瞬間にも私たちの心の中に生き続けているのです。
そして間もなく、久しぶりにお父さんは彼に会いに行くのです。
それでは、その友達のことを君に紹介しましょう。
彼と出会ったのは、お父さんたちが十八歳の頃でした。
高校を卒業したお父さんは、世界中を旅してみたくて船乗りになったのです。そして初めて上陸した地で、世界中を旅して回る彼に出会いました。
最初の出会いは、簡単な言葉を交わしただけで別れてしまいました。なぜならお父さんは、すぐにまた乗船しなければならなかったのですから。
それからもお父さんは、船に乗っていろいろな国を回りました。真っ青な海は、お父さんをどこへでも連れて行ってくれるのです。
どこまでも続く大きな海を何日も眺めていると、お父さんの心も、この海や大空に溶け込んで、大きくなったような気がしたものです。しかしそんな海や空しかない世界にも、さまざまな自然が生きているのです。
船と一緒にトビウオが舞います。遥か彼方に、大きなクジラの影を見つけたこともありました。そして時には、イルカが水先案内を務めるのです。南海の低く流れる浮雲は大空に絵画を描き出し、その真下を通るたび気持ちの良い一瞬のスコールに見舞われます。しかし不気味な暗雲は、大きく船をきしませもしました。そしてそんな航海の終着点が、様々な異国の地だったのです。
けれどもそんな旅は、海のある国に限られていることにお父さんは気付いたのです。そこでお父さんは船を降りました。そして最後に降り立った地で、偶然に彼と再会したのです。
お父さんと彼はお酒を酌み交わしながら、今まで出合った様々な国のことを語り合いました。そして知ったのです。彼も旅というものに、お父さんと同じような想いを抱いていることを。
そこからお父さんと彼の旅は始まりました。お父さんたちは、これまで以上にたくさんの土地や人々と出会いました。今こうして目を瞑っていると、お父さんたちが出合った様々な景色が瞼の裏側にありありと浮かび上がってきます。
樹も、テレビなんかで見たことがあるだろう。モンゴルという国のことだ。
そこは、大平原の国だった。一歩郊外に踏み出そうものなら、そこは見渡す限り一面の草原で、草原以外には何も見当たらないんだ。
お父さんたちは、呆然とその大草原を眺め続けました。地球の七割を占める平たい海が大きいのは分かるけど、起伏に富んだ大地がこんなに大きいものだとは、お父さんも感じたことがなかったのです。
しばらくして気持ちが落ち着いてくると、遥か彼方に、アリのような小さな生物がたくさんうごめいていることに気付きました。お父さんたちは馬に乗って、その群れに近づいて行ったのです。
けれども慣れない乗馬に馬は遅々として進まず、時間が過ぎていくだけで、全然その群れい近づいていけないんだ。 草原はどこまでも広がり、大きな千切れ雲がいくつも、地平線の向こうから湧き上がっては消えてゆきます。
そんな物音一つしない静寂の中を、不器用に草を踏む馬の蹄の音だけが心地よく響いていました。
そんな大自然に抱かれていると、人のちっぽけな悩みなどは、いつしかそよ風と共にどこか遠くへと吹き飛ばされてしまうんだ。そして気付くのです。小さな煩いにいつまでもくよくよしているのではなく、真直ぐと前を見詰めて進んでいけば、どんな問題も解決できるのだと……。
そして草原が夕焼けに染まり始めるころ、お父さんたちはその群れの正体を知りました。それは、ゲルという移動式テントで旅して暮らす羊飼いと羊の群れだったのです。
客人をもてなすことが好きな彼らは、優しい笑顔でお父さんたちを迎えてくれました。
そしてお父さんたちの為に、貴重な財産である羊をさばき、美味しい自家製のお酒で盛大にもてなしてくれたのです。
優しい笑顔と人懐っこい振る舞い、そして美味しい料理とたくさんのお酒で、お父さんたちはとてもいい気持になっていました。
そして知らぬ間に夜も更け、トイレを探しにゲルを出た時のことです。お父さんたちは、自然とそこに倒れ込んでしまったのです。
なぜお父さんたちが倒れてしまったと樹は思いますか。お父さんたちは、酔っ払って倒れたのではないのですよ。
それは、そこにたくさんの大きな星があったからなんだ。そう、手を伸ばせば届きそうなくらいすぐそこに星たちは瞬いていた。その情景をどう表現したものだろうか……。
お父さんたちがゲルを出ると、そこは一面の暗闇でした。本当に何も見えないのです。澄んだ空気に抱かれた、電気などない草原のど真ん中なのですから、それは当然のことですよね。そしてだんだんと目が慣れてくると、お父さんたちの周りを、蛍が舞っているようなのです。
近くに清流など流れていないこんな所になぜ蛍が舞っているのかと、お父さんは一瞬不思議に思いました。そしてその光をじっと見つめたのです。するとどうやらその光は、蛍のものではないらしいことに気づきました。なぜならそれは、同じ所で瞬き続けていたのですから。
そしてお父さんは気付いたのです。それが、まるですぐ側で瞬いているような、全天を埋め尽くした星星だということに。
お父さんたちは驚きで天と地との境を見失い、その場に倒れ込んでしまったのでした。
あちらこちらに、たくさんの流れ星が降り落ちています。ここに一晩いれば、あっという間に願い事はすべて叶ってしまうことでしょう。そしてお父さんたちは星灯りの暗がりの中、互いに見つめ合うと、自然と笑い出していました……。
- 2009/05/22(金) 14:30:11|
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*政治に興味はない。腐った政治家に何を期待すればよいのかが解らなかったからだ。だけれどかつて一度だけ、鳩山由紀夫氏には少しだけ惹き付けられる何かを感じたことがあった。確かあれは、鳩山氏が民主党の党首になった時ではなかっただろうか。調べればすぐに確かなことは分かるのでしょうが、めんどくさいので、あやふやな記憶に頼って書き進めます。確か、小泉首相との党首討論でのことであったと記憶しています(違っていたら済みません)。鳩山氏は小泉氏の荒だけを探すのではなく、思想の共通点を認めていた印象を僕は強く持ったのでした。もともと政治には興味が持てなかったので、聞き流した程度だったのですが、僕の心に何か引っかかるものを残しました。その後何があったのかは忘れましたが、鳩山氏は直ぐに党首の座を下ろされたのではなかったでしょうか。僕はそんな民主党に幻滅し、さらに政治には目を向けなくなりました。
僕は民主党を支持するわけではありません。ただ個人的に、人間としての鳩山氏が好きなのです。今、鳩山氏は、強い信念(友愛)を持って党首に返り咲きました。もし彼が馬鹿な評論家やマスメディアに流されることなく、真実の自分の想いを信じ、真直ぐに進んで行くことができたのなら、僕にも政治というものが信じられるような気がするのです。日本の未来にも希望が持てるような気がするのです。僕は、あなたに期待しています……。
- 2009/05/21(木) 10:01:40|
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